
ヨコヅナサシガメは日本最大級のサシガメで、黒・白・赤の配色が美しい人気種です。
飼育難易度は低く、日本の気候に適応しているため常温飼育が可能です。ただし、脱皮用の足場を必ず設置し、不用意に素手で触らないよう注意しましょう。
この記事では、ヨコヅナサシガメの生態、危険性、飼育方法、餌、必要な飼育用品を実際の飼育経験をもとに解説します。
ヨコヅナサシガメの紹介

- 和名:ヨコヅナサシガメ(横綱刺亀)
- 学名:Agriosphodrus dohrni
- 昆虫網:カメムシ目:カメムシ亜科:トコジラミ下目:サシガメ上科:サシガメ科:ヨコズナサシガメ属
- 体長:約15㎜~25㎜で日本のサシガメの中では最大
- 特徴:ヨコヅナサシガメは、体全体が艶のある黒色をしており、腹部の縁には白黒の模様があります。また、脚の付け根や腹部の先端が鮮やかな赤色をしているため、黒・白・赤のコントラストが美しく、昆虫ファンからも人気の高いカッコいいサシガメです。
- 脱皮を繰り返し成長していきます。
- 生態:ヨコヅナサシガメの幼体は、サクラ・クワ・クスノキなどの大木の樹洞や空洞部分に集団で生活しています。幼体は芋虫や毛虫を捕食する肉食性で、樹木周辺の害虫を食べることから益虫として扱われることもあります。地上から人の目線ほどの高さにいることが多いため観察しやすく、幼体から飼育すると脱皮や成長の様子を間近で楽しむことができます。
- 成体になると樹上を活発に徘徊し、幼体のような集団生活は見られなくなります。ヨコヅナサシガメは肉食性の昆虫で、餌不足になると共食いをすることがあります。特に脱皮直後の個体は襲われやすいため、複数飼育する場合は十分な餌を与え、必要に応じて個別飼育を行いましょう。
- 餌:ヨコヅナサシガメは肉食性で、自然界では芋虫や毛虫などを捕食しています。そのため、樹木の害虫を食べることから益虫として扱われることもあります。飼育下で芋虫や毛虫を確保するのが難しい場合は、餌用として販売されているコオロギを与えましょう。私の飼育経験では、元気に走り回るコオロギを入れるとヨコヅナサシガメが驚いて逃げることがありました。そのため、餌虫を少し弱らせてから与えるとスムーズに捕食してくれることが多かったです。
- 捕食するときは、普段は折りたたまれている長いストロー状の口(口吻)を獲物に突き刺します。消化酵素を送り込んで体の中を溶かし、ストローでジュースを飲むように体液を吸い取ります。この独特な捕食方法はサシガメの大きな魅力の一つです。
- 危険性:不用意に素手で触ると刺してくるので注意しましょう。
- サシガメに刺されたら死亡する?:サシガメの仲間の一部は、寄生虫「クルーズトリパノソーマ」を媒介し、シャーガス病を引き起こすことがあります。シャーガス病は発熱や心臓・消化器系の障害を引き起こすことがある病気です。しかし、この病気を媒介するサシガメは主に中南米や米国南部に分布しており、日本では確認されていません。そのため、日本に生息するヨコヅナサシガメに刺されてもシャーガス病に感染する心配はありません。ヨコヅナサシガメに刺されると非常に強い痛みを感じることがありますが、日本国内で死亡例は確認されていません。過度に恐れる必要はありませんが、素手で触らないよう注意しましょう。
- 生活環(ライフサイクル):ヨコヅナサシガメは6月頃に産卵し、約2か月後の8月頃に孵化します。幼体はサクラやクワなどの樹洞に集団で生息し、幼体のまま冬を越します。翌年の春から初夏にかけて最終脱皮を行って成虫となり、再び産卵して次の世代へ命をつなぎます。
- ヨコヅナサシガメの寿命:約1年。
幼体は集団で生活します。☟

ヨコヅナサシガメはどこにいる?
ヨコヅナサシガメは、サクラ・クワ・クスノキなどの大木の樹洞や空洞部分によく集まっています。
特に幼虫は集団で生活していることが多く、人の目線の高さ付近で見つかることもあります。
採集時は不用意に素手で触らず、長めのピンセットや採集容器を使用しましょう。
ヨコヅナサシガメの脱皮直後はなぜ赤いの?
下の写真は、私が飼育しているヨコヅナサシガメの脱皮直後の様子です。
普段は黒を基調とした成虫ですが、脱皮したばかりの体は驚くほど鮮やかな赤色をしています。まるで別の昆虫のような姿で、初めて見たときは私も驚きました。
この赤色は時間の経過とともに徐々に黒く変化していき、最終的には見慣れた成虫の姿になります。脱皮直後にしか見られない貴重な瞬間であり、ヨコヅナサシガメ飼育の大きな魅力の一つです。ぜひ鮮やかな赤色の姿を観察してみてください。☟

腹部もキレイな赤。☟

ヨコヅナサシガメに刺されたときの痛みは?
私は子供の頃、素手で捕まえて手を刺された経験があります。針で強く刺されたような痛みが数十分続きました。その後大きな腫れはありませんでしたが、二度と素手で触ろうとは思いませんでした。
ヨコヅナサシガメに刺されたら
もしヨコヅナサシガメに刺された場合は、患部を流水で清潔にし、保冷材などで冷やして様子を見ましょう。痛みや腫れが強い場合は、市販のかゆみ止めや虫刺され用の外用薬を使用する方法もあります。症状が強い場合や体調に異変を感じた場合は、早めに医療機関を受診してください。
また、タランチュラやサシガメなどの奇蟲を飼育している方や昆虫採集をする方は、毒吸引器を常備しておくと安心です。蜂、アブ、ブヨ、蚊などの虫に刺された際の応急処置用品として役立つ場合があります。採集や野外活動をする機会が多い方は、一つ持っておくと心強いでしょう。
私も昆虫採集や奇蟲飼育をするため、毒吸引器を常備しています。価格もそれほど高くなく、万が一の備えとして持っておくと安心です。特に蜂が活動する夏場の昆虫採集では重宝しています。
刺された後にかゆみや腫れが出た場合は、市販のかゆみ止めを使用するのも一つの方法です。昆虫採集や奇蟲飼育をする方は、かゆみ止めを常備しておくと安心ですよ。
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ヨコヅナサシガメの飼育レイアウト
飼育ケースには床材を敷き、木の枝や樹皮などの足場を設置してあげましょう。
ヨコヅナサシガメは脱皮の際、足場にぶら下がった状態で古い殻を脱ぎます。そのため、ケース内に足場がないと正常に脱皮できず、脱皮不全を起こしてしまうことがあります。
脱皮不全になると足が変形したり、最悪の場合は死んでしまうこともあります。ヨコヅナサシガメを健康に飼育するためにも、枝や樹皮などの足場は必ず用意してあげましょう。
また、足場は複数設置しておくと、ヨコヅナサシガメが自由に移動できるためおすすめです。
ヨコヅナサシガメの飼育に必要な物一覧
ヨコヅナサシガメの飼育に必要な物は以下のとおりです。
| 飼育用品 | 必要度 | 用途 |
|---|
| 昆虫飼育ケース | ★★★★★ | ヨコヅナサシガメを飼育する容器。通気性があり、脱走しにくいものがおすすめ。 |
| 床材 | ★★★★☆ | 湿度維持や足場として使用。乾燥防止にも役立つ。 |
| 隠れ家・足場(コルク樹皮・流木など) | ★★★★☆ | 身を隠したり、登ったりするためのレイアウト用品。 |
| 餌(ヨーロッパイエコオロギなど) | ★★★★★ | 成長や健康維持に欠かせない生き餌。 |
| 爬虫類用ピンセット | ★★★☆☆ | 給餌やメンテナンス時に使用。安全に作業できる。 |
| 洗浄瓶 | ★★★☆☆ | ケース内をピンポイントで加湿し、湿度管理をしやすくする。 |
ヨコヅナサシガメ飼育で特に重要なのは「昆虫飼育ケース」「餌」「床材」の3つです。まずはこの3点をそろえ、必要に応じて隠れ家や洗浄瓶などを追加するとよいでしょう。
昆虫用飼育ケース:ヨコヅナサシガメの飼育ケースはクリアースライダーがおすすめ
ヨコヅナサシガメの飼育ケースは、昆虫用のプラケースがおすすめです。価格が手頃で入手しやすく、コストパフォーマンスにも優れています。
特におすすめなのが、側面まで透明な「クリアースライダー」です。ケース全体がクリアなので観察しやすく、ヨコヅナサシガメの行動や脱皮の様子をじっくり楽しむことができます。
また、クリアースライダーはフタの密閉性が高く、脱走防止にも役立ちます。ヨコヅナサシガメを安全に飼育したい方や、観察を楽しみたい方におすすめの飼育ケースです。
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ヨコヅナサシガメの床材
ヨコヅナサシガメの飼育には床材を入れてあげましょう。
床材がないと、ひっくり返った際に起き上がれなくなることがあります。また、床材を適度に湿らせることでケース内の湿度管理もしやすくなります。
私は掃除のしやすさを重視しているため、床材の代わりにキッチンペーパーを敷き、水で軽く湿らせて使用しています。
キッチンペーパーのメリット
- 糞や食べ残しの掃除が簡単
- 汚れたらすぐに交換できる
- コストが安い
キッチンペーパーのデメリット
- 見栄えがあまり良くない
- 自然な飼育レイアウトを再現しにくい
- 消臭効果がほとんどない
見た目を重視する場合や消臭効果を期待する場合は、奇蟲飼育用の専用床材やヤシガラ土などを使用するのもおすすめです。これらの床材は保湿性にも優れており、ヨコヅナサシガメが過ごしやすい環境を作ることができます。
床材はヨコヅナサシガメの転倒防止だけでなく、湿度管理にも重要な役割を果たします。飼育スタイルに合わせて、自分に合った床材を選びましょう。
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ヨコヅナサシガメの隠れ家・足場
ヨコヅナサシガメの足場|鉢底ネットがおすすめ
ヨコヅナサシガメの隠れ家や足場には、鉢底ネットがおすすめです。
鉢底ネットを丸めてインシュロック(結束バンド)で固定し、ケース内に立てかけるだけで簡単に足場を作ることができます。ヨコヅナサシガメは足場を利用して移動したり、脱皮したりするため、必ず設置してあげましょう。
鉢底ネットのメリット
- 安価で入手しやすい
- 水洗いして繰り返し使用できる
- ネット状なので通気性が良い
- ヨコヅナサシガメの姿が見えやすく観察しやすい
- 脱皮用の足場としても利用できる
鉢底ネットのデメリット
- 人工物のため見栄えがあまり良くない
- 自然なレイアウトを再現しにくい
見た目を重視する場合は、コルク樹皮や木の枝などを使用する方法もあります。コストやメンテナンス性を考えると、鉢底ネットは非常に優秀な飼育用品です。
私自身もヨコヅナサシガメの飼育では鉢底ネットを使用していますが、観察のしやすさと掃除のしやすさから重宝しています。
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足場に天然流木を使ったレイアウトもおすすめ!
足場に天然流木を使用すると、一気に自然感のあるレイアウトになります。ヨコヅナサシガメの野性的な雰囲気とも相性が良く、観賞用としても非常におすすめです。
天然流木のメリット
- とにかくカッコいい
- 自然な飼育環境を再現できる
- 見栄えが良く、観賞性が高い
- 写真映えする
天然流木のデメリット
- 鉢底ネットに比べると価格が高い
- 種類によっては掃除がしにくい
私個人としては、見栄えを重視するなら天然流木がおすすめです。 ヨコヅナサシガメが流木につかまっている姿は非常にカッコよく、飼育の満足度も高まります。
「飼育のしやすさなら鉢底ネット」「見栄え重視なら天然流木」と考えるとよいでしょう。
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コルク樹皮で自然なレイアウトを楽しもう
コルク樹皮は、ヨコヅナサシガメを自然に近い環境で飼育したい方におすすめのレイアウト素材です。見た目も美しく、ケース内がまるで自然の一部のようになります。
コルク樹皮のメリット
- 自然に近い環境を再現できる
- 見栄えが良く、レイアウト性が高い
- ヨコヅナサシガメの隠れ家や足場になる
- 脱皮用の足場としても利用できる
コルク樹皮のデメリット
- ヨコヅナサシガメが裏側に隠れると観察しにくい
- 個体によっては長時間出てこないことがある
- 「ヨコヅナサシガメを飼っているのか、コルク樹皮を飼っているのか分からない状態」になることもある
私は観察を楽しみたいタイプなので、コルク樹皮を使用する場合は「見栄え」と「観察のしやすさ」のバランスを考えて使用しています。
自然感を重視するならコルク樹皮、観察のしやすさを重視するなら鉢底ネットがおすすめです。
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ヨコヅナサシガメの餌
ヨコヅナサシガメの餌|芋虫・毛虫
ヨコヅナサシガメの餌には、芋虫や毛虫がおすすめです。
野外で採集した芋虫や毛虫を与えると、ヨコヅナサシガメが鋭い口吻(こうふん)を突き刺して捕食する様子を観察できます。
さあ!芋虫や毛虫を捕まえに行きましょう。
ただし、毛虫の中には毒針毛や刺激毛を持つ種類もいます。毛が皮膚に刺さると強いかゆみや炎症を引き起こすことがあるため、素手では触らないよう注意してください。
そこで活躍するのが、爬虫類用の長めのピンセットです。
ヨコヅナサシガメの餌|ヨーロッパイエコオロギ
ヨーロッパイエコオロギは、ヨコヅナサシガメの餌としておすすめできる昆虫です。
体が比較的やわらかいため、ヨコヅナサシガメが口吻(こうふん)を刺しやすく、スムーズに捕食できます。また、ペットショップや通販でも入手しやすい定番の餌昆虫です。
ヨーロッパイエコオロギのメリット
- 体がやわらかく食べやすい
- 入手しやすい
- サイズが豊富で幼虫から成虫まで対応しやすい
- 栄養価が高い
ヨーロッパイエコオロギのデメリット
- ジャンプ力が高く脱走しやすい
- 動きが活発で捕食しにくい場合がある
- 大きな個体は反撃することがある
私は与える前に、コオロギが飛び跳ねないよう後ろ足を処理し、さらに軽く弱らせてから与えています。そうすることでヨコヅナサシガメが安全に捕食しやすくなります。
特に幼虫や小型個体に餌を与える場合は、コオロギが強すぎることもあるため、ヨコヅナサシガメのサイズに合わせて餌の大きさを選びましょう。
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爬虫類用ピンセット
- 毛虫を安全に採集できる
- 餌やりがしやすい
- ヨコヅナサシガメに直接触れずに済む
- メンテナンス作業にも使える
長めのピンセットはヨコヅナサシガメ飼育だけでなく、さまざまな奇蟲飼育でも重宝します。一本持っておくと非常に便利な飼育用品です。
※毒毛を持つ毛虫を扱う際は、ゴム手袋を着用するなど安全に十分注意してください。
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ヨコヅナサシガメの湿度管理に洗浄瓶
ヨコヅナサシガメの飼育では、床材が少し湿っている状態を維持しましょう。
湿度管理には霧吹きを使用する方も多いですが、私は洗浄瓶をおすすめします。
洗浄瓶は狙った場所にピンポイントで水を与えることができるため、床材の一部だけを湿らせたり、ケースの隅に給水ポイントを作ったりするのに便利です。
洗浄瓶のメリット
- 狙った場所だけを湿らせることができる
- 水の量を調整しやすい
- 生体に直接水がかかりにくい
- 床材の内部まで水分を浸透させやすい
霧吹きのデメリット
- 生体に直接水がかかることがある
- 床材の表面しか湿らない場合が多い
- 加湿量の調整が難しい
私は洗浄瓶を使って床材の一角を湿らせ、ケース内に「湿った場所」と「乾いた場所」を作るようにしています。そうすることで、ヨコヅナサシガメが自分で快適な場所を選べるようになります。
ヨコヅナサシガメQ&A
ヨコヅナサシガメは危険ですか?
不用意に触ると刺されます。非常に痛いですが、日本では死亡例は確認されていません。
ヨコヅナサシガメは益虫ですか?
毛虫や芋虫などを捕食するため益虫として扱われることがあります。
ヨコヅナサシガメの寿命は?
約1年です。
ヨコヅナサシガメはどこで見つかる?
桜やクワなどの大木の樹洞付近で見つかることがあります。
まとめ
ヨコヅナサシガメは、飼育自体それほど難しくありません。適切な飼育ケースと床材を用意し、餌となる昆虫を定期的に与えれば長期間飼育を楽しめます。
ただし、ヨコヅナサシガメは鋭い口吻を持っており、素手で触ると刺される危険があります。給餌やメンテナンスの際は長めのピンセットを使用し、安全に管理しましょう。
ヨコヅナサシガメ飼育のポイント
- 通気性の良い昆虫飼育ケースを使用する
- 床材を適度に湿らせて乾燥を防ぐ
- コルク樹皮や流木を設置すると落ち着きやすい
- ヨーロッパイエコオロギなどの活き餌を与える
- 洗浄瓶を使うと湿度管理がしやすい
- メンテナンスや給餌は長めのピンセットを使用する
- 刺された場合は患部を洗浄し、症状が強い場合は医療機関を受診する
ヨコヅナサシガメは独特な見た目と狩りの様子が魅力的な昆虫です。本記事を参考に、安全に配慮しながらヨコヅナサシガメ飼育を楽しんでください。





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